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第2回 医療連携
第2回 医療連携
秩父病院院長 花輪 峰夫
緑と清流、山々に囲まれ、豊かな自然に恵まれた秩父。ここで生活する私たちにとって、この快適な環境は最も大事な宝物であり、他に誇れるものの一つです。しかしながら、この地理的好条件は必ずしも良いことばかりではありません。医療においてもしかりです。創刊号でお話したように、私は皆さんに私どもの病院を知って頂くと同時に、秩父の医療の現状をより良く知ってほしいと思っています。そして皆さんと一緒に問題点を考え、より一層の地域医療の充実を目指して努力したいと思います。今回は医療連携(助け合い)に関して私の考えをお話します。
医療連携の一つである救急医療体制は現在当院を含む郡市内の6病院が曜日別に順番に24時間体制で当たっています(二次救急輪番体制)。一次救急は、日曜、祭日に限り医師会休日診療所と在宅当番医制があります。昨年度の統計では年間3605人の患者さんが救急車で搬送され、このうち410人が圏外の医療機関(大学病院や専門病院など)に運ばれています。これらの救急体制は比較的良好に機能していると思われます。
しかしながら問題点もあります。たとえば、これは全国的なことですが、小児の救急体制や心筋梗塞など一刻を争う急性循環器疾患に対する治療体制が不充分なことなどです。救急車で最も近い大学病院や専門病院まで1時間弱かかることを考えると問題です。
ところで皆さんは秩父郡市に住む入院患者さんの約半数が他の地域の病院に入院していることを知っていますか。当然と思われるか、びっくりされたか、どうでしょう。これが患者さん達の都会志向や大病院志向だけでなく、より良い医療を受けるための結果だとしたら、私は秩父の医師の一人として、複雑な思いを禁じ得ません。もちろん私もすべての患者さんや病気が秩父で治療されるべきだなどという考えは有りません。大学病院や高度専門病院で治療すべきケースが多々あることは誰よりも知っています。しかし一方、多くの患者さんや家族ができれば秩父で治療したいと思っていることも承知しています。私はまだまだ多くのケースで地域内での対処は可能だと思っています。
それには秩父地域のそれぞれの医療機関がレベルアップすることと同時に、綿密な連携(助け合い)が重要であると考えています。自然環境という地理的なメリットとともにハンデも背負った秩父だからこそ、医療にも地域内での充足とより一層の医療連携が必要なのです。
| コメント (0) | 更新時間 : 2012年10月11日 22:10